葵の上はなぜ、この上ない身分の姫なのにプライドばかり高くて、ほかは平凡な女なのだろう。恵まれすぎると感性が育たない・・・?
こんにちは、ゆきばあです。毎日ブログを更新しています。

古典で知る人の心の不思議について
「源氏物語」ですが・・・
光る源氏の正妻、葵の上はなぜ、この上ない身分の姫なのに、プライドが高いほかは平凡な女なのだろう。そしてなぜ紫式部は、このような設定にしたのだろう、と不思議だった。恵まれすぎると感性が育たない・・・?と、言いたかったのか。
葵の上は左大臣家の姫として、まわりの人々みんなから、かしづかれて育った。黙っていても、いずれは、宮中に上って女御となり、中宮の身分にまで上りつめたかも知れない。
そんな運命が待っていると自分でも密かに思っていて、それまでは蝶よ花よの環境の中で、無邪気に笑っていればそれで良かったはずだ。けれど、何歳も年下で、しかも光り輝く貴公子 源氏を夫にもったばかりに、自分が年長であり、夫より見かけがおとる、という負い目を持つにいたった。
年上といっても、帝ご寵愛の皇后定子のように、長い髪で夫をからめ取るような妖艶さの持ち合わせもなく、また軽妙な歌や話術で夫を虜にする才気があるわけでもない。
そういうわけで、ただ、外でさんざん遊び呆けている夫を待っているか、人形のようば硬い横顔を見せて座っているしかなかった。
それでいて、プライドは高すぎるくらい高い人だから、
日々、心の奥底に鬱屈がたまり、
いつしか夜叉の面となった自分自身と
対峙しなければいけなくなった。なんというつらさだろう。
外で夫が逢っているのはだいたい自分よりも身分の低い女たちだ。
「今夜も、あの女たちはわたしを笑っているにちがいない」
そう思えば胸がはち切れんばかり。
でもプライドが高いからそういう苦しさを、決して
源氏には見せない。
馬鹿にされるくらいなら、疎まれたほうが数段ましだ。
そして、心はすでに鬼と化している。
葵の上の心境をこのように想像しているうちに、
鬼となるはずだったのは、六条御息所ではなく、
葵の上だったような気がしてくる。
そうならなかったのは、葵の上が平凡な心の持主だったからか。
大切に育てられ過ぎた女性に良くあるように、ある種の感性が育たなかったか、理想の姫でいようとするプライドが心を抑圧してしまったか・・・。
少なくとも紫式部とは真逆の女性だった。
身分の高さのほかは平凡な女性を、どう扱っていいか式部自身もちょっと困ったのかもしれない。だからこそ、そこに、魔物となった六条御息所を登場させたのかもしれない。
ある種、鮮烈な場面をつくり出すために。
残酷な話なのだが、そうしなければすまなかった紫式部の心情に興味がある。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。ほかにも日々の思いを書いていますので、目を通していただけましたら幸いです。
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