玉木屋の女房

  • 2025年04月09日

    玉木屋の女房〈10〉

    「ああ、こりゃあ、いい版木だ」多江が蔦重の耕書堂に行った翌日、早速店の手代が版木を届けにきた。作治は早速仕事に取りかかった。良い下絵と...

  • 2025年04月05日

    玉木屋の女房 9

     あの男、斎藤十郎兵衛は、痩身をかがめるように歩く一見貧相にも見える男だった。あんなふてぶてしいほど人を食った大首絵を描くような、図々...

  • 2025年04月01日

    玉木屋の女房〈8〉

    「ああ、版木かい。それなら、山桜の一枚板のいいのがあるよ。木目が細かくて、彫りやすい。あんたのとこの作治さんのように、丁寧な仕事をなさ...

  • 2025年03月28日

    玉木屋の女房〈7〉

     蔦重さんのところはうちと違って活気があるな。それが久しぶりに、耕書堂の店先に立っての感想だった。暖簾を見上げていると、番頭さんらしき...

  • 2025年03月15日

    玉木屋の女房 〈6〉

    蔦屋から急ぎの仕事が入ったのはその数日後のことだった。ゆらが店の横にある工房に行くと、作治がいつものように背中を丸めて熱心に彫っている...

  • 2025年01月10日

    玉木屋の女房 5

     ゆらがこの家にきたのは、お夏が亡くなって半年もたたないころだった。もともとお夏はできた女で、身持ちの悪い清吉にはもったいないくらいの...

  • 2024年12月29日

    玉木屋の女房 4

     実際に、川に飛び込みかねないほど役者に熱を上げた女たちは、役者そっくりに描かれた絵を喉から手が出るほどほしがった。「だから、どの版元...

  • 2024年12月25日

    玉木屋の女房 3

     ゆらは、十二年前に、ひかされて木版元の玉木屋の女房になった。当時、このあたりばかりでなく、結構有名な話で、なんでもそれで若旦那は身上...

  • 2024年12月19日

    玉木屋の女房 2

    「実はねえ」 両手で茶碗を囲むようにして茶をすすると、お静は笑って言った。「今日は、多江ちゃんの結婚話を持って来たのよ。とんとなら、も...

  • 2024年12月15日

    玉木屋の女房 1

                                根本 幸江「なんだか、最近物騒だから気をつけたほ...

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