ノベル
わたしの拙い小説のご紹介。
老いとは何か。
わたしたちはどこに向かっているのか。
生きる意味についても考えます。
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2024年03月16日
ツグミ団地の人々〈苦い水 13〉
尊王攘夷を旗印に挙兵した天狗党は、やがて常陸国筑波山を下ると北へと向かっていった。その間にも武士や郷士、農民らが徐々に加わって人数...
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2024年03月12日
ツグミ団地の人々〈苦い水12〉
「それ何? それ何」 聞きたがり屋のタカ子が平八の袖を何度も引っぱる。たまりかねたような顔で平八が言う。「まあ、君たち若いもんに言って...
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2024年03月09日
ツグミ団地の人々〈苦い水11〉
「そもそもが、あんたらが悪い」 平八は、きっとして、皆川をにらんだ。「なんだよ、このじいさんをなんとかしてくれよ」「二人とも友達同士な...
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2024年03月05日
ツグミ団地の人々〈苦い水 10〉
「だから長州の人間っていうのは……」「はあぁ、なんだって」「君がいつか、萩の出身だって話したときから、ああ、長州だな、いつかは言ってや...
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2024年03月01日
ツグミ団地の人々〈苦い水 9〉
「そういえば、この前、あんたと横浜の港に船を見に行ったな」「ああ、おまえが連れて行け、っていったからな」 なんだ、連れだって出かける仲...
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2024年02月26日
ツグミ団地の人々〈苦い水 8〉
「あなたも? とてもそんな風には見えないわ」 美佐子は、タカ子の健康そうな身体にちらりと一瞥をくれた。それは老齢に差しかかった女が若い...
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2024年02月22日
ツグミ団地の人々 〈苦い水 7〉
「あんたたち、ママに叱られるよ」タカ子が大声で叫ぶ。「へいきだよ」男の子が大きな声でこたえる。 母親たちもまったく気にする様子がない。...
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2024年02月18日
ツグミ団地の人々〈苦い水 6〉
その日、平八と皆川が電話の前で衝突したのは当然の帰結だった。内心ハラハラしていたことが起こったのだ。 電話が空くのをじりじりしながら...
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2024年02月14日
ツグミ団地の人々〈苦い水 5〉
その時、入口のドアがバンと開いて、西部劇のアウトローよろしく皆川義男が肩をいからせ店内をにらみすえながら入ってきた。店に姿を見せるの...
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2024年02月11日
ツグミ団地の人々〈苦い水4〉
せかせかと席に戻る途中、中年女の二人連れの椅子に杖をぶつけて危うく転びそうになる。ジョギング帰りらしい派手なウェットスーツを着た女た...
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2024年02月07日
ツグミ団地の人々 〈苦い水3〉
ナイフで残りのバターを塗り付け、焦げ目の付いたところにシロップをたっぷりかけると、平八は最後の数切れをうまそうに口に運んだ。酒を飲ま...
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2024年02月04日
ツグミ団地の人々〈苦い水2〉
そのころ、ひとりの老人がコーヒーショップつぐみに向かっていた。老人は鶴田平八といい、ツグミ団地と県道にはさまれた三角土地に立つ一軒家...