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わたしの拙い小説のご紹介。
老いとは何か。
わたしたちはどこに向かっているのか。
生きる意味についても考えます。

  • 2022年01月28日

    眠り草 (3)

     どうしても送っていくという健治をふりきって、聡子は日曜日の早朝に家を出た。健治はもちろん、美咲もまだ眠っている時間だった。「明日は何...

  • 2022年01月25日

    「眠り草」(2)

     聡子は沢田家の遠縁の女で、長年沢田の家に住み込みで働いている。小さい頃に母を亡くした健二と美咲兄妹の育ての親でもある。香料を扱う会社...

  • 2022年01月21日

    眠り草 (1)

     健治は来るだろうか、来ないだろうか。来るなら来るでいいし、ダメならそれはそれで仕方ない。  無理に来いとは思わないけど、来たくてたま...

  • 2021年12月20日

    抜け道 (25)

     弟が亡くなって数年たっていた。妻はもう花を育てるのをやめていた。彼が仕事から帰ってくると、たいがい妻は電話の横に座っていて、ときどき...

  • 2021年12月17日

    抜け道 (24)

     低いモーター音はまだ続いている。その中に、人の話声を聞いたように彼は思った。布団の上に起き上がると、あぐらをかいて座った。どうやら茶...

  • 2021年12月14日

    抜け道 (23)

     彼は若い男になって、オートバイにまたがっていた。ほとばしる精気が体中にみなぎり、白い光の線を描き彼は走った。周囲はどこまでも紫苑の咲...

  • 2021年12月11日

    抜け道 (22)

     家に戻ると、あら、雑魚ばっかりだね、母親が彼のバケツをのぞき込んでいった。それから弟のバケツを見て一匹の魚を指し、あれは、なんていう...

  • 2021年12月08日

    抜け道 (21)

    ――こう、うまくいってくれればいいのだが。 彼はふいに、俺は死んだのだ、と人々に触れて回らなければすまない気持ちになった。彼は孤独だけ...

  • 2021年12月05日

    抜け道 (20)

     彼は、かつてモンゴルの砂漠で見た夕焼けを思い出していた。鉄錆び色の陽が地平線の向こうに完全に姿を消すと立ってはいられない寒さだった。...

  • 2021年12月02日

    抜け道 (19)

     嫁さんの話は切れ目がない。彼は、うん、うん、と聞いている。ばあさんのほうも彼の家にやってくると、嫁さんの悪口を並べ立てるから、おあい...

  • 2021年11月29日

    抜け道 (18)

     数百年前、このあたり一体はアラカシやシラカシの深い森であったそうだ。いずれ彼がいなくなれば、家の庭も本来の植生に戻るのだろう。彼の先...

  • 2021年11月26日

    抜け道(17)

               女ってのは結婚してしまうとつまらなくなるもんだ。遠藤菊子が帰ったあとの茶の間で彼はひとりごちる。 そのまま、倒し...

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