夫や妻や娘や母親が本音をバシャバシャとかたる。佐野洋子「そうはいかない」のなんという大らかさ。エッセイだけれど物語になっている
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「そうはいかない」(佐野洋子)
私たちの社会では、人の悪口をいわないことになっている。
それは言い換えれば、本音を言わないと言うことである。そんなのに慣れきって、いま私たちは、きれいごとの言葉しか言えない。
そして、いつもだれかを傷つけなかったか、社会の基準に照らし合わせ、それから外れた言葉を発しなかったか気にしながら生きている。
そんな中、佐野洋子のエッセイ「そうはいかない」のなんという大らかさ。
エッセイなのだけれど、物語風になっている。夫や妻や娘や母親が、本音でバシャバシャとかたる。ときに相手をののしり、ふてくされる。
作者は娘のころに、とびっきりの美女に会った。絵かきでもある私、佐野洋子はその女性に憧れ、ミカンを食べるところさえ美しく見えた。
そしてその美人は、作者の恋人と結婚したのだ。
20年後に作者は駅で二人を見かける、夫はと言えば「首にこぶをつけた」よう。女性の方は、「白い豚みたい」で「あごがお供えもちみたいになって」いた。なんという残酷‼
そこに作者のやるせなさを感じる。人間に対するというより、自身に対する深い哀しみと絶望を感じるのだ。
きっと、こういうことをいつも感じている。だからこんなエッセイを書くのだ。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。ほかにも日々の思いを書いていますので、目を通していただけましたら幸いです。
2025-02-11 by
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