「東京奇譚集」(村上春樹) 人生の中で出会う不可思議な体験をやさしいタッチで描く物語
こんにちは、ゆきばあです。毎日ブログを更新しています。

新作が話題の村上春樹氏。今回手に取って読んでみたのは
東京奇譚集 (新潮文庫)
不思議な話が5編入っている。不思議な話といっても、それぞれにタイプが違う。気に入ったのが、「ハナレイ・ベイ」。
一人息子を亡くした女性の物語だ。
息子はハワイのハナレイ・ベイでサーフィンをしているときに大サメに足を噛まれて、ショックのあまり溺れて死んでしまう。
東京にいた彼女のもとに、ハワイからその知らせが来て、驚きながらもなんとか航空券を入手してハワイに飛んだ。遺体を確認し、引き取り荼毘に付し、すべての手続き済ませてしばらくハナレイ・ベイに滞在したのち東京に戻ってきた。
息子のことを思い出しつつ、きっと他人だったら好きなタイプの人間ではないだろう、と彼女はいう。亡くなったとき息子は19歳、荒削りで粗野な青年だった。
彼女は淡々と自分の店で、ピアノを弾く仕事を続けていく。
そして毎年あの時季になると20日間、ハナレイ・ベイを訪れるのが恒例になった。
彼女はハナレイ・ベイで、ある時、ヒッチハイクの日本人の若者二人を車に乗せる。彼らもサーフィンをしに来た青年たちだった。一寸面倒をみてやったりホテルについてのアドバイスをしたりで妙に懐かれる。
女性は毎日ビーチに出て、何時間も座って本を読み続ける。日本人の青年たちもしばらく滞在し、毎日サーフィンを続ける。
ある時、青年たちは彼女に思いがけないことを伝えた。それは今ここでは言えない。
私も母親だけに、息子を亡くした母親の気持ちが胸に迫って、読みながらたびたび目頭が熱くなった。主人公はカラッとして淡々としているだけに余計、悲しみの深さを感じさせる。
海岸を歩き、ゲッコーの鳴き声を聞きながら帰った夜、横になっていると枕が濡れて自分が泣いているのに気がついたというところでは、私も思わず泣いてしまった。
他の4つの話もとても個性的で面白いので、ぜひ手に取って読んでみてください。
「偶然の旅人」はかつて憎み合った姉弟の間に起こる奇跡。「品川猿」はあまりにも荒唐無稽でありつつ、春樹氏特有の胸の奥をひっかかれるような切ないところもあり、小説の楽しさを堪能できる。
新作もぜひ読んでみたいですね。
最後まで読んでくださりありがとうございました。ほかにも日々の思いを書いていますので、目を通していただけましたら幸いです。

究極の中での、人間存在の美しさと家族愛をしみじみと感じさせる短編 永井龍男「秋梅雨」 
べらぼう23回、花魁 誰袖(たがそで 福原遥さん)の健気さがあわれを誘いました。松前廣年(ひょうろくさん)にだまされないで! 
葵の上はなぜ、この上ない身分の姫なのにプライドばかり高くて、ほかは平凡な女なのだろう。恵まれすぎると感性が育たない・・・? 
「ガラスの地球を救え」で手塚治虫が伝えたかったこと。人間は「嘘つきで、他人を信用せず、○しあう醜い生き物です・・・それでも人間が愛おしい」 
あらためて見てみると、純粋すぎる愛っていうのはつくづく怖いものなのだなと。「死の棘 (とげ)」(島尾敏雄) 源氏物語の「六条御息所」は愛が深すぎて生き霊になったけれど。





