13日に亡くなられた大江健三郎氏。芥川賞受賞の「飼育」は、土着的なものや人間の心の奥底にあるものを垣間見せるすごい作品だ

こんにちは、ゆきばあです。毎日ブログを更新しています。

2023.3.14付け 読売新聞朝刊

ノーベル文学賞作家 大江健三郎さんが2023年3月13日に亡くなられた。88歳だった。心からご冥福をお祈りいたします。

私の20代の頃から大江健三郎と言えば、安部公房や埴谷雄高などと共に、読んでいないとちょっと恥ずかしい、というそういう作家だった。

「飼育」は土着的なものや人間の心の奥底にあるものを垣間見せる

14日付けの読売新聞の記事。
代表作一覧に、なぜ芥川賞受賞作の「飼育」がないのだろう、と思ったら本文には書いてあった。
この作品「飼育」は1958年に『文學界』1月号に掲載され、同年に第39回芥川賞を受賞した(問題作)。

戦時中、アメリカ軍の飛行機が撃墜され、山間の村に黒人兵が落下傘で降りてくる。村人に捕らえた黒人兵。村人は、どうしたらよいか迷い、ひとまず主人公の少年の家の地下倉で「飼育」することに。

やがて主人公の少年と心が通じ合ったと思えた黒人兵だが、県の指令で移送しようとすると少年を盾にして逃げようとする。そこで少年の父が、少年の手もろとも鉈をふるう。黒人兵は殺害され、少年もあおりで腕を切られる。けがをして包帯をした腕はのちのち友人たちに臭い臭いと侮られる。

この作品tと後の大江氏の思想とがうまく結びつかない。私の読みが浅いのかも知れないが・・・。それに読んだのはまだ、20代のころだった。そもそもなぜ、人に「飼育」という言葉を当てたのだろうか?

少年と黒人兵、そして黒人兵と村人。そのぎりぎりの関係性の中に、人間の尊厳を見つけようとする。それが「飼育」という言葉に象徴された文学性なのだろうか。よくわからない。
ともかく人間の心の奥底にある恐怖心や残虐さを白日のもとにし、真の人間性とは何かを考えさせてしまう凄い作品であったと思う。

やはり大江健三郎氏はすごい作家なのだ。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。ほかにも日々の思いを書いていますので、目を通していただけましたら幸いです。

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