グリーンベルト (4)

 アメリカは人種のるつぼというけれど本当にそうだ。
 ワシントンD.C.の市内を3人で歩いていると、日本にいるときよりずっと多くの視線を感じる。別にしょってるんじゃないのよ。この女たちは何人なんだろう、どこから来たんだろう、って。

 バスの運転手も、レストランのウエイトレスも、ホテルのボーイも、アジア系か、アフリカ系、または南米系の人々。星条旗のひるがえる昼の大通りには人影はまばらだけれど、一歩ビルの裏手などに迷い込むと、褐色の肌にぴっちりしたTシャツなどを身につけた若者たちがビルの谷間にあるババスケットゴールを囲んでボールをパスし合ったりシュートしたりしていた。また手持ち無沙汰そうに壁にもたれている若者もいた。
 

 市内巡りの観光バスに乗ったのは、着いて2日目のことだった。

 5月初旬だというのに、うだるような暑さで、ワシントン公園の木立の上にはまぶしく日が照りつけ、木陰を縫って歩いていく観光客らの皮膚は一様に赤く日焼けしていた。観光客のほとんどがヨーロッパ系の人に思える。

 赤い巻き毛のいかにもヤンキー娘といった感じの若い女性ガイドが、説明を早口にまくし立てては、片手でミネラルウォーターの入った大型ペットボトルをつかんで喉人流し込んでいた。
 議事堂やリンカーン記念館の前ではまぶしい日の中大勢の人が肌を焼きながら歩いていた。まそして耐えずバスを乗り降りする人の烈。そんなときふと、観光客の私たちに向ける視線のあいまいさに気づくのだ。

言い出したのは昨日はアーリントン墓地に行った。今となってみればそれは、間違いだった。

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