NHK大河「鎌倉殿の13人」に登場する人々の燃えさかる熱望、野心・・・・・・陰謀うずまく世界をえがく/「炎環」永井路子

大河「鎌倉殿の13人」を観ていて気になることがあったりで、
今さらながら、永井路子さんの「炎環」(えんかん)を購入して読んだ。
鎌倉幕府成立の前後のすさまじい人間ドラマを、4人に焦点を当て4つの短編にして描いている。
野望や陰謀が渦まく中、人々は自分の意志以外のものに翻弄され運命を決定づけられていく。その過程が恐ろしい
悪禅師 ― 頼朝の弟 全成
黒雪賦 ― 梶原景時
いもうと ― 政子の妹 保子(大河では実衣)
覇樹 ― 北条義時
坂東武者たちの理想の地であったはずの鎌倉。
幕府が成立してもなお人々は、権力に焦がれ争いを起こして自滅したり、陰謀に巻きこまれて滅んでいかなければいけなかった。信頼もあれば裏切りもある。その時代の人々の生は残酷だ。
歴史を知るとき、なぜあの人は、あのときあんな行動をしたのだろう、と思う。
よく、時代に翻弄されたとかいうけれど、その人にとって、そう行動しなければならない必然とはなんだったのか。なぜあんな結末を・・・と、人の運命が決定される瞬間の残酷さを思う。
知れば知るほど人生の不思議を感じ、人への愛おしさと哀しみで胸がいっぱいになる。
それが歴史小説に触れるということなのだろうか。
「いもうと」では、政子から見た妹
先日このブログで、姉妹の葛藤について書いたが、「いもうと」では、姉の政子から見た妹の保子の姿が描かれている。
おしゃべりでいろいろな所に顔を出す妹。明るくあっけらかんとしているが、時として底意が知れない。姉から見て、そんな妹のコワさも描かれている。
また、大河では義時は、武将としてはおっとりしたやさしい性格に描かれている。これは三谷幸喜さんの脚色かと思っていたが、小説でも余り話さない人、そして探そうとするときに姿の見えなくなる人として描かれていて、興味深かった。
この時代の人々のエネルギーの凄さと野心に圧倒されつつ読み終えた。現代人はその頃の人々に比べてなんて生ぬるい・・・・・・。
いや今回の、ロシアによるウクライナ侵攻によって、私たちは平和な世界というのは、本当は仮の姿なのかもしれないと疑念をもつようになった。恐ろしい野蛮な世界は昔のことだけではなかったのだ。
人の生の哀しみと運命の残酷さをしみじみと感じさせられた一冊でした。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。ほかにも日々の思いを書いていますので、目を通していただけましたら幸いです。
先日このブログで、姉妹の葛藤について書いたが、「いもうと」では、姉の政子から見た妹の保子の姿が描かれている。
おしゃべりでいろいろな所に顔を出す妹。明るくあっけらかんとしているが、時として底意が知れない。姉から見て、そんな妹のコワさも描かれている。
また、大河では義時は、武将としてはおっとりしたやさしい性格に描かれている。これは三谷幸喜さんの脚色かと思っていたが、小説でも余り話さない人、そして探そうとするときに姿の見えなくなる人として描かれていて、興味深かった。
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