塩野七生「愛の年代記」(新潮文庫)中の短編「女法王ジョヴァンナ」について。民間の間に伝承として残っていること
こんにちは、ゆきばあです。毎日ブログを更新としてしています。

映画「教皇選挙」を観たあと、「コンクラーベ」は文字通り根くらべだと、塩野七生さんがエッセイで述べている、と書いたのですが、気になって調べてみたら、「愛の年代記」中の短編「女法皇ジョヴァンナ」の中にあった記述でした。
ローマ法王は男性という決まりがあるようですが、歴代の法王の中にはジョヴァンニ八世(ヨハンナ)という女性法皇がいたのではないかという話です。その存在は殆ど伝説化されていて、真実ではないとされています。
彼(彼女)はイギリス人で、修道士の父のもとに生まれ、男装して修道士の姿になりドイツからギリシア、そしてローマへと渡って来ます。高い知識と知見のある彼(彼女)は、法王レオーネ4世に信頼され、聖マルティーノ学院の神学教授になりました。
学生たちからも尊敬され、のちにレオーネ4世がなくなると次の法皇に選出されます。けれどのちに修道士と恋に落ちて妊娠し、いつ産まれるかの計算方法に無知だったため、寺院でのミサの最中に陣痛で苦しみながら子を産み亡くなるという話でした。
このことは後になかったことにされたそうですが、ローマの人々は彼女を悼み、通りに長いこと像が建てられていたとのこと。
また歴代教皇の胸像が置かれていたシエナ大聖堂にはかつて、レオ4世像とベネディクトゥス3世像の間に、「ヨハネス8世、フォエミナ・デ・アングリア」と記された女教皇の像があったそうです。

事実かどうかはわからないにしろ、人々が哀れに思ったのはたしかで、民間の間で伝承され今に伝わっています。
また、何人もの伝記作家が興味をもち、その話を物語のような形で残しています。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。ほかにも日々の思いを書いていますので、目を通していただけましたら幸いです。
「源氏物語の中の女君たち」のことが背景もふくめて詳しく書かれています。永遠の美少女 紫の上との出会いは鞍馬山か・・・? 「永訣の朝」宮沢賢治詩集から。妹との永遠の別れ。 (あめゆじゅとてちてけんじゃ) のリフレインが切ない 子供がいることで「在る」ことの意味が「ずっと繋がっていく」と石原氏。曽野氏は、「生きている時間が濃密であるかどうか」に意味がある、と。 『源氏供養』橋本治 中央文庫 物語の中にある紫式部の復讐とは? ドラマ #光る君へ のまひろの思いにも通じるものがあります あらためて見てみると、純粋すぎる愛っていうのはつくづく怖いものなのだなと。「死の棘 (とげ)」(島尾敏雄) 源氏物語の「六条御息所」は愛が深すぎて生き霊になったけれど。