源氏物語で夕顔の巻を読んでいたら、ふと「伊勢物語」の芥川で鬼が一口に女を食べた話を思い出した
こんにちは、ゆきばあです。毎日ブログを更新しています。
「伊勢物語」は皆さんよくご存知だと思います。
これは昔男の有原業平が、美しい姫(藤原高子と言われています)を邸から盗み出し背負って逃げるという話です。
背負って逃げ、芥河のそばを通ったときに草の上の露が光ったのを見て、「あれは何」とききます。それすらも知らない深層のお嬢さまなのです。
やがて、天候が変わって雷も鳴り響き、昔男は蔵の中に姫をかくまい、自分は入り口を守っていましたが、中で叫び声がして戻ってみると、姫は鬼に食われあとかたもなく消えてしまったという話です。
この姫は藤原高子で、入内前のこととされます。さらわれたのを知った兄の藤原基経と国常の兄弟が急いで追いかけてきて連れ戻したというのが真相のようです。それを鬼に食われたといったのです。
白玉かなにぞと人の問ひし時露とこたへて消えなましものを
この和歌は、「あれは何」と聞かれたとき、いっそ露となって消えてしまえたらよかった、という昔男の悲しみを表しています。
ところで源氏物語の中の夕顔の巻ですが、これも光源氏が夕顔を外に連れ出す話です。
「どこか静かなところで二人でゆっくりしよう」
と誘い、行った先は、人の住まない廃院。そこで一夜を明かします。
夜中に、物怪が現れ夕顔は取り殺されてしまうのです。何か、伊勢物語の芥河に似ているなあ、と思ったりしました。
人気のない廃院や蔵の中で女が命をなくすという設定も似ています。
ひょっとして紫式部は、伊勢物語のファンだったのではないでしょうか・・・。
そして、今の私たちと同じように、露を見て、「あれは何」ときくおんなのカマトトぶりを可愛いなあ、と思ったり。また女が消えた後の昔男の悲しみに、共感したりしたのではないでしょうか。
紫式部(土佐光起画、石山寺蔵)
脇息にもたれ「伊勢物語」を読む姿が浮かんできたり。勝手な想像ではありますが、千年前の紫式部がとても身近に感じられます。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。ほかにも日々の思いを書いていますので、目を通していただけましたら幸いです。