鎌倉殿の13人、「名前を、葵に変えました」の言葉に驚く。大姫は葵の上という気位の高い不幸な女性に何を託したのか。

こんにちは、ゆきばあです。毎日ブログを更新しています。

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この前、大河「鎌倉殿の13人」で、
大姫がいきなり、「わたし葵という名になりました」
というのでびっくりしました。

生霊に苦しめられた葵の上

それで気になって、谷崎潤一郎訳の「源氏物語」を取り出して、「葵」の巻を見直してみました。六条御息所の生霊に苦しめられる葵の上。

そして光源氏が、病気になった葵の上を見舞うところですが、
ここでの源氏の感想としては、

「たいそう美しい人の、ひどく衰弱してあるかなきかの有様で打ち伏していらっしゃいますのが、世にも愛らしくいたいたしいのです」
というものです。

光源氏は坊ちゃん育ちで心が優しいためか、弱々しい様子の女性に心惹かれるところがあります。
やさしく話しかける夫に、気位が高く年上の葵もめずらしく打ち解けた様子を見せ、それで源氏は、初めて心が通じ合ったような感動を覚えるのです。

やむを得ず院へ参上する際にも、葵の上は、
「いつもよりはおん眼をとめて見送り」と、優しい情愛を示してくれます。

田辺聖子さんの加えたかった言葉

田辺聖子さんは雑誌に「新源氏物語」として連載されていましたが、大事にしたのはそのときどきの登場人物の感情をきちんと伝えることでした。そのためもうちょっと感情を伝えたいと思い、言葉なども補ったそうです。

この、葵が情愛をこめて光源氏を見送るシーンでは、さらに、
「いってらっしゃいまし」
という言葉を書き加えたそうです。なるほど、より細やかなやさしさが感じられますね。原文にはない、こういう言葉が入ることで、夫婦の会話がより自然なものとして伝わります。

話題になった「おかえりなさいませ」

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そういえば「鎌倉殿の13人」でも、一時話題になった言葉があります。
それは、義時の思いを受け止めた際に八重が言った、
「おかえりなさいませ」
というものでした。
たったこれだけの言葉ですが、この二人の心が通じ合った瞬間を見事に表しています。
私もそれを聞いたときには、どきりとしました。
そしてその言葉にこめられた八重の感情の豊かさにあらためて驚かされたものです。

「いってらっしゃいまし」も「おかえりなさいませ」も美しい言葉。
新垣結衣さんがそれを、生きた言葉として話されていて感動しました。
日本語は伝え方で、本当に美しくなるのですね。

絵 夏城らんか©


ところで「葵」の巻にもどると、葵は、光源氏が留守の間に、
「にわかに例のお胸をせき上げて、たいそう深くお悶えになり」

と病状が急激に悪化し、亡くなってしまいます。妻を不幸にしたのではないかと苦しむ光源氏。

源氏物語は、華やかではんなりと美しい情景にみたされるかと思うと、打って変わって陰惨で哀切極まりない展開になります。
この不幸な女性、葵に、大姫は何を託したのでしょうか。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。ほかにも日々の思いを書いていますので、目を通していただけましたら幸いです。

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