あさイチに「青天を衝け」の脚本家・大森美香さんが出演。慶喜と円四郎、栄一の感動のシーンをかたる
12月10日のあさイチ「プレミアムトーク」にゲストとして脚本家・大森美香さんが出演されました。
「想像を超えた」劇中のシーンとして、栄一(吉沢亮さん)の恩人の一橋家家臣・平岡円四郎(堤真一さん)の暗殺シーンを挙げた。大森さん自身、あのシーンが、あれほど壮絶な場面になるとは思わなかったという。
これは、きっと平岡円四郎を演じた堤真一さんと、慶喜役の草彅剛さんとの密度の濃い主従の関係を、これによって断ち切られるという胸えぐるような哀しみが、つく利出したものだろう。
降りしきる雨の中で慶喜の流す涙がせつない。
「青天を衝け」では、これまで無視され、もしくは軟弱ものとして片付けられた慶喜の心中を描いている。それを草彅剛さんが静かな表情も中に時には強い怒りを込めて演じている。
前にも書いたが、勝者は歴史を書きかえる。
徳川260年を否定して、まったく新しい明治政府ができた。というのがこれまでの通説だが、そんなことはない。すでに江戸時代に庶民にまでいき渡った教育、独自の文化、侍ならぬ官僚による統制、そして慶喜の御代には、渋沢たちをパリに派遣して西洋列強の科学技術を取り入れようとしていた。
それにもし幕末に将軍が慶喜でなかったとしら、京も江戸も戦場と化していたかもしれない。そして、混乱の中、西洋列国の植民地となっていた可能性すらある。
「こんばんは、徳川家康です」が、評判だったけれど、家康が強調するまでもなく、徳川の時代に築き上げた遺産は大きい。
大政奉還後、慶喜は水戸の弘道館で謹慎。
その後、静岡に移り、パリからもどった渋沢栄一と再会する場面。
慶喜が栄一に言う。
「このあとは日本のためにつくせ」
「では、元の名にもどします」
「元は、なんと申したかな」
「渋沢栄一でございます」
「そうか、そんな名であったな」
そして、初めての出会いの場面にフラッシュバックするわけですが、このときの遠いものを見つめる慶喜の目、
そして部屋を出て行く際に、渋沢に呼び止められたときの固い表情。毒を飲み込んだような顔だった。それは、悔しさも憤怒も何もかも、自分の腹一つに収めようとした人の顔である。
こんな風に慶喜を解釈した脚本家の大森美香さんはすごい。
そして、それを見事に演じきった草彅さんは、やはりただ者ではない。慶喜が憑依している(すみませんm(_ _)m)。
その心をこめた演技に感動させられた。慶喜をそんな風に表現してくれて感謝したい。
本物の演技とは、演じていることを忘れさせてしまうもの。
渋沢栄一といい、円四郎といい、ほんとうに素晴らしい役者さんぞろいの大河だと思う。
あと数回、しっかりと見届けたい。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
ほかにも日常を書いていますので、よろしければ目を通していただけましたら幸いです。
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