ノベル
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2024年02月04日
ツグミ団地の人々〈苦い水2〉
そのころ、ひとりの老人がコーヒーショップつぐみに向かっていた。老人は鶴田平八といい、ツグミ団地と県道にはさまれた三角土地に立つ一軒家...
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2024年02月02日
ツグミ団地の人々〈苦い水 1〉
美佐子が購入したコーヒーショップつぐみは、美佐子の住むツグミ団地から歩いて十分ほどの駅のガード下にある。入り口は狭く、中も幅が狭いが...
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2024年01月24日
ツグミ団地の人々〈二人の散歩15 了〉
その夜、疲れていたので彼らは早く布団に入った。彼はいつもの癖で息子のことをぼんやり考えていたのだが、しばらくして妻が口にしたのはまっ...
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2024年01月19日
ツグミ団地の人々〈二人の散歩14〉
帰ってくると妻は二人分の茶をいれ、また息子の話をする。 「小さいうちからお話しができて、あんなおりこうな子はいなかった。あの子の履いて...
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2024年01月16日
ツグミ団地の人々〈二人の散歩13〉
横のボックス席に座った男女が話している。「いい加減、みんな引っ越していけばいいのにね」「限界団地っていわれてるらしいな」「おお、怖い...
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2024年01月11日
ツグミ団地の人々〈二人の散歩12〉
二人は散歩の帰りで疲れていたので、ぼーっと座って温かい紅茶を飲んでいた。 里子が、ふいに二人の方を見ていった。「隆史君は元気ですか」 ...
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2024年01月08日
ツグミ団地の人々〈二人の散歩11〉
磨りガラスの外側に、ドアにもたれるようにして人が立っているのが見えた。そしてよく見ると、しわくちゃのおばあさんの顔が、精一杯店の中の...
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2024年01月04日
ツグミ団地の人々〈二人の散歩10〉
「あら、里子ちゃん、めずらしい」澄子が素っ頓狂な声をあげた。妻が下の名で呼ぶのは、だいたいが隆史と同級かそれに近いような者に対してだ。...
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2023年12月30日
ツグミ団地の人々〈二人の散歩 9〉
一時間もせずに彼らはその家をあとにした。「あの子は、ほんとにバラ作りの名人ね」 後ろから澄子が話しかける。「そうだな」彼は気がなさそ...
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2023年12月26日
ツグミ団地の人々〈二人の散歩8〉
「ずいぶんよく咲いているな」 彼はティーカップを口から離すと出窓の外に咲き誇るバラに見惚れながら言う。息子が父親の方に向き直り、息を整...
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2023年12月22日
ツグミ団地の人々〈二人の散歩7〉
商店街の外れで和菓子を売っている店に立ち寄り、店主の老人に大福餅を十個ほど包んでもらった。「おみやげにちょうど良いわね」「で、やっぱ...
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2023年12月18日
ツグミ団地の人々〈二人の散歩6〉
二人はしばらく視線を合わせず、通りの別の方向を見ていた。彼はそのうち頭の芯が重くなりいつしか、うとうとしていた。 二人はまた病院の...