ノベル
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2023年09月20日
ツグミ団地の人々 〈レモンパイレディ2 〉
第一次世界大戦のおり、アメリカ軍がどこかの国に派兵されていた。従軍記者が国に帰るときに、一人の兵が記者に十ドル紙幣をにぎらせていった...
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2023年09月16日
ツグミ団地の人々 〈レモンパイレディ1〉
そもそもなぜそんな話になったのかわからない。 納期明けで、会社の帰りに焼き鳥屋に寄り、そのほうが駅まで近道だからという理由で公園の中...
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2023年09月08日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた18 了〉
あまりに寂しかったから、奈々の結婚式の日に自分は茂夫の幻覚を見たのだ。そう思って奈々にはもちろん誰にも話さなかった。 夏になると、...
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2023年09月04日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 17〉
式の途中から茂夫がいなくなったことが信じられず美佐子の心の奥にわだかまりのように残っていた。 それから一週間ほどたったある日、見...
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2023年08月30日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた16〉
たがいに話しかけられないまま、硬直した姿勢で金屏風の前の新郎新婦ばかりを見ていた。数分が過ぎ、やがて友人知人のスピーチが始まった。それ...
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2023年08月24日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた15〉
藤本家の親族席の寂しさに比べて、隣のテーブルは賑やかだった。 茂夫と久人の兄弟は、同じ私立大学のラブビー部だった。そしてなぜか久人が...
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2023年08月20日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 14〉
席が空いてしまったな、まぁ、仕方がないかと美佐子は思った。 式が滞りなく終わり、人々は披露宴の会場に向かった。父親のいない寂しさが...
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2023年08月14日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 13〉
「わぁー、奈々ちゃんきれいねー」式場の入り口で、そう叫んだのは茂夫の弟、勝三の弟の嫁さんで園子さんという。ちょうどその時、園子さんの携...
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2023年08月10日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 12〉
「でも来るかもしれないわ」奈々がグズグズという。この娘は昔からあきらめが悪いのだ。まあ、母子ふたりの生活だったから、それも仕方がない...
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2023年08月04日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 11〉
化粧してウェディングドレスを着た奈々は美しかった。鏡の中に奈々の晴れやかな顔が映っていて美佐子をうれしい気持ちにさせた。つんと尖った...
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2023年07月30日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 10 〉
このあたりは谷戸の地形になっている。小道を歩いていくと山奥の谷のようなところに出る。欅か何かの大きな木の横に枝が張りだしていて、その...
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2023年07月25日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 9〉
夏が終わり、秋が近づいているそんな九月の一日だった。空が高くなって青く澄み、涼しい潮風が団地のベランダにまで吹き込むんでいた。 奈々...