ノベル
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2023年11月14日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ15〉
それから僕らは父さんをまん中にして並んで家へ帰ってきた。 エレベーターを降りて歩いていくと、ちょうど僕の家の前に、岡田さんが立ってい...
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2023年11月10日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ14〉
話しかけようとすると母さんは言った。「し、もう何もいわなくて良いの」そして懸命にプールの縁にしゃがんでいるふたりの話し声を聞き取ろう...
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2023年11月05日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ13〉
母さんが淹れたコーヒーも何もかも置いて外に出て行ったのは確かだ。 僕はなんだか不吉な予感がした。母さんはムキになると何をやり始めるか...
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2023年11月02日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ12〉
僕は夢の中で、またくるみを探していた。 くるみ、くるみ。 廊下に出ると、向かいのドアがバタンと開いて、「うちの娘の友達になって」岡田...
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2023年10月28日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ11〉
今夜も父さんは帰りが遅い。最近いつもそうなのだ。 「きっと仕事が忙しいんでしょう」母さんは壁掛け時計を見上げながらいう。「それとも昇級...
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2023年10月25日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ 10〉
「やさしい子でね。ほんとうは会社で働けるような子じゃなかった。前の日に就職斡旋会社に行って登録してきたのよ。がんばって必ず探してあげる...
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2023年10月21日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ9〉
掲示板の内容というのはこういうものだった。 『最近、犬や猫を飼っているお宅があるようです。動物の毛が飛んできて迷惑していますので、すぐ...
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2023年10月16日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ8〉
塾の帰りにバス停から家に向かって歩いているときだった。 公園のほうから女の人が出てきた。ずいぶん体の大きな女の人だな、と思いながら見...
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2023年10月13日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ7〉
夕方家に帰ると、くるみの姿が見えないといって、母さんが家中を探していた。「どこにもいないわ。玄関のドアを開けたとき、足下をすり抜けて...
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2023年10月08日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ6〉
母さんはそのころテープ起こしの仕事をしていた。 毎日テープレコーダに耳を近づけるようにしてその音を聴き取っていた。15センチもないよう...
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2023年10月03日
ツグミ団地の人々 〈レモンパイレディ5〉
竹中くんの棟は、僕の家のとなりの建物だ。その家には子どもが大勢いて、5人兄弟の一番下が竹中くんなのだ。 クラスにはもうひとり勉強の出...
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2023年09月28日
ツグミ団地の人々 〈レモンパイレディ 4〉
学校で竹中くんという友達ができた。おもしろいことをやって見せて、みんなに馬鹿にされてしまうというそういう男の子だった。笑うと情けない...