戦後、横浜の街に生きた貴婦人のような娼婦「メリーさん」

こんにちは、ゆきばあです。毎日ブログを更新しています。

実在の娼婦、「メリーさん」について話には聞いていた。
けれど、初めてその姿を見たときは衝撃だった。

それは、私がまだ若いころだった。

横浜駅西口にあるデパートの洗面所に入ったら、鏡の前にメリーさんはいた。フリルの多いドレス、真っ白に白粉をぬった顔。

あっと、声を出す前に、その女性メリーさんは、きわめて優雅な歩き方で去って行った。
その姿を何年も忘れることができなかった。

それから30年もしてから、メリーさんに再会した。
赤レンガ倉庫で上演された、五大路子さんの一人芝居「横浜ローザ」で。メリーさんをモデルにしたお芝居だった。


戦争で一人きりになり、街で娼婦として暮らすことになった横浜ローザ。

異様な身なりや特異な生き方を見て、私たちはメリーさんを特殊な女性だと思いがち。
けれどメリーさんにも、もともと平凡な生活があった。そして平凡な幸せも。
それなのに戦争が、メリーさんを孤独な生活に追いやったのだ。

街をさまよう生活になったけれど、プライドだけはなくさなかった。
そしていつか横浜の街そのものが、メリーさんの衣裳になった。

芝居を見ながら、だれもが心の中で叫んかもしれない。

メリーさんは自分かもしれない

そしてその毅然とした姿に、敬意を払わずにはいられない。
メリーさんは、華やかな衣裳を身にまとった孤高の貴婦人だったのだ。

できれば、一人芝居「横浜ローザ」をまた観てみたいと思っています。
 

五大路子 ひとり芝居

横浜ローザ 赤い靴の娼婦の伝

5月11日~15日、KAAT神奈川芸術劇場

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。
ほかにも日々の思いを書いていますので、ご覧いただけましたら幸いです。

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