60年前、日本の夜の闇は深かった。ジブリ 「となりのトトロ」のお風呂シーンのように
鼻をつままれてもわからない暗やみ、という言葉の意味がわかりますか。わからないなら、あなたはきっと都会で育った50歳代までの人ですね! 約60年前まで、日本の田舎町はまっ暗。漆黒の闇の中にすっぽりおおわれていました。
冬なら午後7時過ぎに、家を出て数分も歩けばもう、足下も見えない暗やみの世界でした。考えてみればこんなに明るくなったのは、ちょうど高度経済成長―昭和30年(1955年)から昭和47年(1972年)ころまで―が始まって間もなくのころです。
ロウソクの明かりで入浴
ジブリの「となりのトトロ」で、新しい家に引っ越して、初日、家族でお風呂に入るシーンがあります。それはこんな感じでした。洗い場も浴槽もうす暗くロウソクがひとつ灯っているだけ。細い明かりの中で、こわごわ入浴します。ロウソクの明かりの外側は真っ暗闇。
ああ、あった、あった、こんな暗やみ。自分の子供のころを思い出しました。物置のようながらんとした浴室で、ロウソクの明かりを頼りに入浴したことがあります。ロウソクの炎に顔を近づけると、反対側の壁にはゆらゆらと黒い大きな影ができました。
そんなちょっと怖い入浴でしたが、戸のすき間から外をのぞけば空には満天の星。息を止めて見つめていました。
私たちは、本当の暗やみを知らない
今は何もかも明るくて、暗やみへの畏怖も昔ほどありません。というか、どこに行ったって本当の暗やみにはお目にかかれません。これでいいのでしょうかね。私たちはどこかで間違ってしまったのでしょうか。昔、洞窟や竪穴式の家の中で、祖先たちは、どれほど闇に怯えて暮らしていたことか。
本当の暗やみを知らないのは幸せですが、自然への畏怖や、星空へのあこがれも知らないままなら、ある意味これは不幸なことです。
時には明かりをすべて消して自然の中に出かけ、満天の星空を見上げてみませんか。ひょっとしたら、悠久の昔からの祖先の思いが、ふと伝わってくるかもしれません。
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