「夏帆」(村上春樹) 斬新なストーリー、寓話性、表現の豊かさを堪能しつつ読みました。
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「夏帆」(村上春樹)
斬新なストーリー、寓話性、表現の豊かさを堪能しつつ読みました
主人公夏帆の母親はシロアリの女王に体を乗っ取られている。
母親を助けるためには、シロアリの心臓に特別に作られたナイフを突き立てなければならなかった。でも、もしシロアリの女王でなく、本当に母親を○してしまったとしたら・・・。そんな風に考え怯える夏帆。
邪悪なシロアリの女王に体を乗っ取られていたとはいえ、そのとき母親は物語の中にいた。
けれども夏帆のナイフによって、現実の世界に引き戻された。母親らしい母親に戻ったのだ。
そして、物語は永遠に彼女の背後に遠ざかっていった。
現実に戻ったとき、母親は自分がシロアリの女王に体を乗っ取られていたことをまったく覚えていない。そして、現実に戻ってきた(シロアリの女王の去ったあとの)母はなんて静かで平凡な女性なのだろう。
夏帆はそんな母を見て、「悪いことをしてしまったのではないか」と思う。
体を邪悪なシロアリの女王に乗っ取られていたとき、母親は物語の中にいた。けれども夏帆の〝ナイフ〟によって、母親は元の人並みの母親らしい母親に戻されたのだ。
そして物語は、永遠に彼女の背後に遠ざかっていった。
生きるということは、物語とはうらはらのところをしぶとく生き抜いていくことだ。
けれど現実と物語とのあわいを行き来していることもあるかもしれない。
そしていずれ気付かぬうちに、どちらとも知れないところに迷い込んでいるかもしれない。それだって人生のおもしろさだろう。そんなことに気付かせてくれるという意味でも、やはり村上春樹は凄い作家なのだ。
またあらためて村上春樹氏は物語の世界が心底お好きなのだと感じた。また寓話性のあるも好まれるのではないかと・・・・・・。そこがなかなか日本の作家にはない魅力になっているのだと思う。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。ほかにも日々の思いを書いていますので読んでいただけましたら幸いです。

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