「ガラスの地球を救え」で手塚治虫が伝えたかったこと。人間は「嘘つきで、他人を信用せず、○しあう醜い生き物です・・・それでも人間が愛おしい」

こんにちは、ゆきばあです。毎日ブログを更新しています。

ガラスの地球を救え」

(手塚治虫、光文社知恵の海文庫)

先日、BOOK STAND若葉台購入した本です。

まず題名が気になり、次に帯の言葉に目が引き寄せられました。
「地球を死の惑星にはしたくない」
病床にありながら亡くなる数日前まで、仕事をしたり文章を書いていたという手塚氏。


まるでこの言葉が、私たちに最後のメッセージ、警告を伝えているように感じられます。
私たちにほんとうに伝えたかったこととは何だったのでしょう?

アトムはいじめられっ子だった自分

代表作の「鉄腕アトム」ですが、読者の受け止め方が、手塚氏の思いとはずいぶん違っていたようです。

アトムは、技術革新によって繁栄した世界の申し子のようにう思われていますが、実は、子どもの時いじめらっ子だった寂しい自分の分身のような男の子なのだそうです。


氏は小さく体が弱かったからいじめられました。科学の申し子のアトムは、ほかの子に比べて能力が高すぎるゆえにやはり孤独で寂しい存在なのです。

テクノロジーの進化がひょっとして人間を不幸にするか、科学やテクノロジーに対する絶望感という大事なテーマがすでにアトムの頃から出ていたのに驚きました。

☆この花は、デュランタ宝塚です。手塚治虫氏のふるさとは宝塚。宝塚歌劇もお好きだったそう。「リボンの騎士」にも宝塚に通じる者ものを感じる方も多いのでは・・・。

そして自然が破壊され地上から木々が消え失せていく今、何より大事にしたいのは子どもたちの未来だと書いています。

大人の未来ももちろん大事なのでしょうが大人は、
「残忍で嘘つきであり、まったく他人を信用せず、浮気者で派手好きで同じ仲間なのに虐殺し合う醜い動物です。しかしそれでもなおやはり僕は人間が愛おしい。今のすべてが愛おしい。」
 人間に絶望しながらも、最後まで人間を愛さずにはいられなかった手塚氏の言葉には、深く感動させるものがあります。

そして科学技術によって汚され、毀されていく地球をみれば、
「人間は人類は進化の方向を間違えてしまったのではないか」?と懸念を感じずにはいられないと。

「火の鳥」未来編には、マザーコンピュータに支配された国同士が、コンピューターのヒステリー-(冷汗:)によって戦争をはじめ、人類が滅亡するという話がありました。
1人残った青年は長い年月の間に神になり、地球上の生き物の誕生と進化を見守ることになります。

やがてナメクジ文明が生まれ、戦争か何かで滅びる。最後に残った瀕死の一匹に向かって、〝神〟は問いかけます。

賢い頭を持たなければ、文明を持たなければ、もっと楽に死ねただろうに」と。

怖い言葉ですね。
そして、人類への絶望、そして救いは何かを、しみじみと考えさせます。
救いは何か、私たちは何をしなければいけないか・・・。

最後になりますが、実験室で生命を産み出そうとしては失敗し、絶望のなかで、神に語りかける猿田博士が言葉が心に残ります。

「神よあなたは偉大だ あなたは宇宙をすべ このおろかな人間をおつくりだされた!
そのあなたがいま みずからつくられたこの地球を・・・・・・人間を・・・滅ぼしつくそうとなさる、なぜですか?・・・」

これは、手塚氏が絶望しつつ愛した、人間へのメッセージにもなっているのでしょうか。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。ほかにも日々の思いを書いていますので、目を通していただけましたら幸いです。

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