ノベル
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2022年12月03日
グリーンベルト(23)
「わかる? ショッピングセンターを見せて自慢したいのよ。でもまだ、道もよくわかってないの。彼女一人じゃ無理だわ」 そうかもしれない。...
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2022年11月30日
グリーンベルト (22)
やもめの男は昼食が済むと、用があると言って先に帰った。「今、新しいお茶をいれるわね。今日はずいぶん暑いから喉が渇いたでしょう」 ヘレ...
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2022年11月24日
グリーンベルト (21)
キヨミさんはヘレンの胸にもたれたままだ。君江さんがわたしに目配せしている。きっと、ほかに人がいなければ肩をすくめてみせただろう。わた...
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2022年11月19日
グリーンベルト(20)
「日本料理を作ったりするの?」葉子さんが聞いた。 「料理はしないわ。夫が亡くなってから、作る気がしないの。家の近くに日本料理店があるの...
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2022年11月13日
グリーンベルト (19)
キヨミさんはきっと、私たちのことなんて少しも見ていないのだ。ぼーっと窓の方に可を向けている。サングラスに外の緑が写り込んでいて、まる...
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2022年11月09日
グリーンベルト(18)
午後もだいぶ過ぎてから、キヨミさんという四十前後の日本人女性が訪ねてきた。 その人は二年前にアメリカ人の夫を亡くし、森の中の広い...
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2022年11月04日
グリーンベルト(17)
もうひとりの客は七十いくつかの、岩のようにごつごつした顔のやもめの男だった。褪めたような色のポロシャツを着て、ほとんど黙ったまま隅の...
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2022年10月31日
グリーンベルト (16)
こんにちは、ゆきばあです。毎日ブログを更新しています。 近所の年配の夫婦も招かれていた。元高校教師だという。夫の方は髪は薄いが多分50...
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2022年10月25日
グリーンベルト (15)
やれやれと、テーブルの上のチョップスティックを手に取ると、ヘレンは一寸疲れたように窓の外に目をやった。青々とよく育った芝生が中庭に広...
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2022年10月21日
グリーンベルト(14)
その日の午後、ヘレンは居間とキッチンを何度往復したことだろう。最後に持ちきれないほどの大きなサラダ鉢を抱えてくると、それをテーブルの...
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2022年10月16日
グリーンベルト(13)
夕暮れ時、匂いはいっそう強まるようだった。 公園やポトマック川の岸辺を歩いていると、ふと匂いは鼻先をかすめていく。夕闇と共に匂いが辺...
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2022年10月12日
グリーンベルト(12)
少したって「どうやら命拾いしたわね。あたしたち、ついてるわよ」と葉子さんが冗談みたいにいったけれど、だれも笑わなかった。とても、そん...