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2023年09月04日ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 17〉式の途中から茂夫がいなくなったことが信じられず美佐子の心の奥にわだかまりのように残っていた。 それから一週間ほどたったある日、見... 
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2023年08月30日ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた16〉たがいに話しかけられないまま、硬直した姿勢で金屏風の前の新郎新婦ばかりを見ていた。数分が過ぎ、やがて友人知人のスピーチが始まった。それ... 
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2023年08月24日ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた15〉藤本家の親族席の寂しさに比べて、隣のテーブルは賑やかだった。 茂夫と久人の兄弟は、同じ私立大学のラブビー部だった。そしてなぜか久人が... 
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2023年08月20日ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 14〉席が空いてしまったな、まぁ、仕方がないかと美佐子は思った。 式が滞りなく終わり、人々は披露宴の会場に向かった。父親のいない寂しさが... 
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2023年08月14日ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 13〉「わぁー、奈々ちゃんきれいねー」式場の入り口で、そう叫んだのは茂夫の弟、勝三の弟の嫁さんで園子さんという。ちょうどその時、園子さんの携... 
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2023年08月10日ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 12〉「でも来るかもしれないわ」奈々がグズグズという。この娘は昔からあきらめが悪いのだ。まあ、母子ふたりの生活だったから、それも仕方がない... 
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2023年08月04日ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 11〉化粧してウェディングドレスを着た奈々は美しかった。鏡の中に奈々の晴れやかな顔が映っていて美佐子をうれしい気持ちにさせた。つんと尖った... 
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2023年07月30日ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 10 〉このあたりは谷戸の地形になっている。小道を歩いていくと山奥の谷のようなところに出る。欅か何かの大きな木の横に枝が張りだしていて、その... 
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2023年07月25日ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 9〉夏が終わり、秋が近づいているそんな九月の一日だった。空が高くなって青く澄み、涼しい潮風が団地のベランダにまで吹き込むんでいた。 奈々... 
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2023年07月19日ツグミ団地の人々〈小鳥が逃げた 8〉数週間ほどたった日曜の午後、茂夫は奈々連れて外出し、小鳥の巣箱を買って帰ってきた。 父親は、鳥たちをいったん別の小さいカゴに移してか... 
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2023年07月14日ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた7〉そんな何日かが過ぎたある日、奈々が怯えた顔でキッチンに駆け込んできた。「チーが変だ」「どうしたの」「目が小さくなって、グルグルいって... 
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2023年07月08日ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた6〉小鳥が家に来た日のことは、奈々もよく覚えている。幼稚園で同じさくら組の坂井くんがある日、奈々のそばに来ていった。「インコのヒナがさ、... 

