ノベル
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2023年10月21日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ9〉
掲示板の内容というのはこういうものだった。 『最近、犬や猫を飼っているお宅があるようです。動物の毛が飛んできて迷惑していますので、すぐ...
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2023年10月16日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ8〉
塾の帰りにバス停から家に向かって歩いているときだった。 公園のほうから女の人が出てきた。ずいぶん体の大きな女の人だな、と思いながら見...
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2023年10月13日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ7〉
夕方家に帰ると、くるみの姿が見えないといって、母さんが家中を探していた。「どこにもいないわ。玄関のドアを開けたとき、足下をすり抜けて...
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2023年10月08日
ツグミ団地の人々〈レモンパイレディ6〉
母さんはそのころテープ起こしの仕事をしていた。 毎日テープレコーダに耳を近づけるようにしてその音を聴き取っていた。15センチもないよう...
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2023年10月03日
ツグミ団地の人々 〈レモンパイレディ5〉
竹中くんの棟は、僕の家のとなりの建物だ。その家には子どもが大勢いて、5人兄弟の一番下が竹中くんなのだ。 クラスにはもうひとり勉強の出...
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2023年09月28日
ツグミ団地の人々 〈レモンパイレディ 4〉
学校で竹中くんという友達ができた。おもしろいことをやって見せて、みんなに馬鹿にされてしまうというそういう男の子だった。笑うと情けない...
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2023年09月24日
ツグミ団地の人々 〈レモンパイレディ 3 〉
数ヶ月後、僕らはツグミ団地に引っ越してきた。 荷物は当日、大方運び込まれたがそれからが大変だった。夕方過ぎまで僕らは働き続けた。こ...
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2023年09月20日
ツグミ団地の人々 〈レモンパイレディ2 〉
第一次世界大戦のおり、アメリカ軍がどこかの国に派兵されていた。従軍記者が国に帰るときに、一人の兵が記者に十ドル紙幣をにぎらせていった...
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2023年09月16日
ツグミ団地の人々 〈レモンパイレディ1〉
そもそもなぜそんな話になったのかわからない。 納期明けで、会社の帰りに焼き鳥屋に寄り、そのほうが駅まで近道だからという理由で公園の中...
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2023年09月08日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた18 了〉
あまりに寂しかったから、奈々の結婚式の日に自分は茂夫の幻覚を見たのだ。そう思って奈々にはもちろん誰にも話さなかった。 夏になると、...
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2023年09月04日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた 17〉
式の途中から茂夫がいなくなったことが信じられず美佐子の心の奥にわだかまりのように残っていた。 それから一週間ほどたったある日、見...
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2023年08月30日
ツグミ団地の人々 〈小鳥が逃げた16〉
たがいに話しかけられないまま、硬直した姿勢で金屏風の前の新郎新婦ばかりを見ていた。数分が過ぎ、やがて友人知人のスピーチが始まった。それ...