紫式部先生にきく〈3〉~謎めいた女性に惹かれてしまうわけ

こんにちは、ゆきばあです。毎日ブログを更新しています。

来年の大河は、吉高由里子さん主演の「光る君へ」。

紫式部が主演ということで、こちらのブログでは「紫式部先生」に登場願い、源氏物語をもとに人生訓などを語っていただいてます。

(夏城らんか 絵)

「源氏物語」は世紀の貴公子、光源氏が高貴の美女たちとくり広げる恋模様を描いたお話…。でも、ご存じですか? 源氏が愛した女性の中には、隣家の話し声が聞こえてくるような庶民的な家に住んでいた人もいるんですよ。

それは「夕顔」です。いったいどんな女性なのでしょう…


その1:長屋のような家に住む

夕顔の君はしもた屋風の狭い家に住んでいました。


外から家の中がぼんやりと見え、女たちがうろうろと動き回っています。
「いったいどんな女性の住まいなんだろう。もしや頭中将のいう中位の女性というのは、こんなところに住んでるのだろうか」

源氏の君は、激しく好奇心をかき立てらるたのです。


その2:意味あり気な歌をおくる

垣根の花に興味をそそられ、従者に取りに行かせます。
すると家の中から少女が現れ、扇のうえに花を乗せるようにいいます。扇には香がたきこめられ、美しい筆致で和歌がしるされていました。

心あてにそれかとぞ見る白露の光そへたる夕顔の花

白露の光がさした夕顔のようなあなたは、ひょっとして光源氏様ではありませんか。

謎めいた和歌が、筆の濃淡も美しい,手なれた筆致で書かれてありました。
いったい何者なんだ・・・! ナゾは深まるばかり。お坊ちゃん育ちの素直な源氏の心はすでに女性の虜になっていたのです。
ひょっとして、これこそ頭中将たちのいう中位の女なのだろうか。


その3:くつろいだ気持ちにさせる

やがて源氏はその家に通い始めます。
だいたい邸にいても、朝から晩まで夕顔のことしか考えられないくらい夢中になってしまったのです。

たまたまそのころ六条御息所という、気の張る上品な貴婦人とおつき合いしていたので、その反動が出たのかもしれませんね。

気の置けないやさしい女性の家。しかも朝っぱら近所の生活音や声の聞こえてくるような庶民感覚。しかも女は恥じる様子もありません。お坊ちゃんの源氏は、すっかり虜になってしまったのです。


その4:ライバル心をかきたてる

源氏は夕顔が、夜の品定めで頭中将が言っていた中位の女ではないかと疑っていました。

何しろお坊ちゃんの源氏は気位が高く、負けず嫌い。それなら、余計に頭中将に勝ちたいな、と思ってしまうでしょう。

そんな気持ちもあってか、「だれにも邪魔されない。静かなところに行ってゆっくりしようよ」
などといって夕顔を誘い、人の住んでいない廃院に連れ出してしまうのです。
「気が進まないなー」
とは思ったけれど、強いて反対もしない夕顔。まるで自分の意志がないんですよ。
そんなふたりだからこそ、あの悲劇につながってしまいました。


その5:あるときは内気、あるときは娼婦のように

源氏はずっと、覆面をして顔を見せていませんでした。
高貴な身分の源氏が、気軽に顔を見せるなんてもってのほかですからね。
でも廃屋に行くと、もういいね・・・と覆面をとってみせたのです。

「ああ、光源氏様・・・!」
となるかと思いきや、夕顔はすまして、

「最初に思ったほどではないわ!」
とこたえるのです。
純真さと娼婦性の混じった夕顔に、お坊ちゃんの源氏は心がかき乱されるのでした。

そして、向こう見ずでアンバランスな2人の上に、あの悲劇が訪れるのです。
廃屋で物の怪に襲われ命をなくす夕顔。悲嘆にくれる源氏。

わたくし紫式部は、今も夕顔があわれでなりません。
というのは、純真な彼女がときにまるで遊女のように見えてしまうからです。なんでも男のいいなりにならず、自分の意志をもつことも必要ではないかとわたくし、紫式部はつくづく思うのです。


今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。ほかにも日々の思いを書いていますので、目を通していただけましたら幸いです。

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