ノベル

  • 2021年10月29日

    抜け道(8)

     弱い陽が、二人の栗色の髪と赤い紙の上に降り注いでいる。彼は、なんとなく話を聞きながら、ゆっくり新聞をめくる。赤い髪の女は煙草を吸い、...

  • 2021年10月25日

    抜け道 (7)

     路地を出ると駅のドーム型の屋根が見え始める。 キン、コン、カン、けたたましい音をさせて遮断機が彼の目の前で下り、快速電車が長い車両を...

  • 2021年10月21日

    抜け道 (6)

     ガードレールの下をくぐると目の前が開け、通り沿いに古くからの商店が並ぶ、路地が口を開けている。そこから大勢の女が出入りしていた。一人...

  • 2021年10月17日

    抜け道 (5)

     花屋の店先では、女の店員が掃き掃除をしている。 水を張った青いバケツに切り花があふれ、手前のゴミ用のポリ容器の横に、今日も二匹の猫が...

  • 2021年10月13日

    抜け道 (4)

     大通りへ出る石段にさしかかった。急ではないが段数が多い。 彼は立ち止まって見下ろしたあと、片足ずつ慎重に下り始める。石段のちょうど半...

  • 2021年10月09日

    抜け道 (3)

     その朝も十時に玄関の戸が開いて、遠藤菊子がやってきた。彼は立つのが面倒なので、勝手に上がってもらうことにしている。  八畳と六畳の座...

  • 2021年10月06日

    抜け道 (2)

      すると彼には、もう何もすることがなかった。 首を巡らすと出窓の上に団扇があるのに気がついた。どうということもなくそれを手に取り、ぱ...

  • 2021年10月02日

    抜け道 (1)

     ――じゃあ、いったい俺はだれなんだ。 ――あなたさまですか・・・・・・? あなたは、あたしのいい人でございますよ。  うっすらと笑い...

  • 午後のサンルーム
    2021年09月28日

    午後のサンルーム(9) 最終回

     その朝、恵子は朝方早い時刻に目を覚ました。 汗をかいている。部屋の中は静かで、障子を通して入ってくる弱い光が箪笥の上の人形を青く浮き...

  • 午後のサンルーム
    2021年09月24日

    午後のサンルーム (8)

     それは八月半ば過ぎで、早くも秋の気配を感じさせるそんな日だった。庭のユキヤナギの花が萎れ、バラが狂ったように中庭に咲き誇っていた。 ...

  • 午後のサンルーム
    2021年09月20日

    午後のサンルーム(7)

     年中旅行して歩いている女がいる。  善光寺というのが甲斐にもあるのを知ってるか、とその女はいった。女は長年高校の教師をしていて、ちょ...

  • 午後のサンルーム
    2021年09月16日

    午後のサンルーム(6)

    その日の午後も、菊江たちのグループは昼食の後、3階のサンルームで時間をつぶしていた。 ガラスに囲われた動物たちのように人々は、ちょっと...

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