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2021年09月24日午後のサンルーム (8)それは八月半ば過ぎで、早くも秋の気配を感じさせるそんな日だった。庭のユキヤナギの花が萎れ、バラが狂ったように中庭に咲き誇っていた。 ... 
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2021年09月20日午後のサンルーム(7)年中旅行して歩いている女がいる。 善光寺というのが甲斐にもあるのを知ってるか、とその女はいった。女は長年高校の教師をしていて、ちょ... 
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2021年09月16日午後のサンルーム(6)その日の午後も、菊江たちのグループは昼食の後、3階のサンルームで時間をつぶしていた。 ガラスに囲われた動物たちのように人々は、ちょっと... 
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2021年09月12日午後のサンルーム(5)ある日、恵子たちのグループが食堂から出ようとすると、先に食事を終えた佐々木シズ子がドア横のイスにすわっていた。その姿がずいぶん小さく... 
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2021年09月08日午後のサンルーム(4)明るい色のひらひらした塊が、ホールの奥から歩いてくる。 そばまでくるとたくさんのフリルの上にしなびて小さい老女の顔があった。白く塗り込... 
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2021年09月04日午後のサンルーム(3)その日の午後、恵子と菊江の姿は、食堂横のサンルームにあった。 色の褪めた葡萄色の長いすが広い窓に沿って置かれ、二人の老女は並んで座って... 
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2021年08月26日午後のサンルーム(2)ここは老人たちの天国でもあり墓場でもあった。彼らは幸せな人々であり、十分生きたという意味で不幸でもあった。 食堂の中は混雑していた... 
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2021年06月21日午後のサンルーム(1)明る過ぎる陽がベランダに差している。壁にかけた時計を見ると十二時少し前だった。読んでいた本を、小テーブルに伏せて恵子は立ち上がった。... 

