ノベル
-
2021年09月12日
午後のサンルーム(5)
ある日、恵子たちのグループが食堂から出ようとすると、先に食事を終えた佐々木シズ子がドア横のイスにすわっていた。その姿がずいぶん小さく...
-
2021年09月08日
午後のサンルーム(4)
明るい色のひらひらした塊が、ホールの奥から歩いてくる。 そばまでくるとたくさんのフリルの上にしなびて小さい老女の顔があった。白く塗り込...
-
2021年09月04日
午後のサンルーム(3)
その日の午後、恵子と菊江の姿は、食堂横のサンルームにあった。 色の褪めた葡萄色の長いすが広い窓に沿って置かれ、二人の老女は並んで座って...
-
2021年08月26日
午後のサンルーム(2)
ここは老人たちの天国でもあり墓場でもあった。彼らは幸せな人々であり、十分生きたという意味で不幸でもあった。 食堂の中は混雑していた...
-
2021年06月21日
午後のサンルーム(1)
明る過ぎる陽がベランダに差している。壁にかけた時計を見ると十二時少し前だった。読んでいた本を、小テーブルに伏せて恵子は立ち上がった。...